1.発作を起こす誘因を減らす工夫

  • 発作の誘因となる精神的ストレスや過労などの肉体的ストレスをできるかぎり軽減するために、日々の生活に運動を取り入れたり、栄養バランスの良い食事をしたり、睡眠を十分にとる。
  • 手術や歯科治療等も発作を引き起こす可能性があります。手術が必要となったときは、治療の計画の段階から、主治医の先生にも相談する。歯の治療をする前は、主治医の先生だけではなく、歯科医の先生ともよく相談する。
  • 生理や妊娠・出産が発作を引き起こす場合があります。妊娠・出産については、主治医の先生に相談する。
  • 服用しているお薬が発作の原因になる場合があります。特にエストロゲンを含む経口避妊薬(ピル)や更年期障害などに対するホルモン補充療法、高血圧の薬であるACE阻害薬、糖尿病の薬であるDPP-4阻害薬は、発作を引き起こす可能性があります。必ず主治医の先生や薬剤師に相談する。

2.発作の記録をつける

  • 発作が起きたときに、記録(発作の部位、はじまり・終わり、発作の強さ、発作前の症状や体調など)をつけることで、治医に正確な情報を伝えることができ、関連が予想される発作の誘因を認識することもできるので治療に役立つことになります。

3.HAEであることを周りに伝えておく

  • HAEであることや発作時の対処法などを、学校や会社、友人に伝えておくことで、発作が急に起こったとき、周囲の人が異変にすぐに気づき慌てず迅速な対応ができます。患者さん自身が安心した日常生活を送るためにも、必要な人に必要な情報を伝えることが重要です。

4.発作に備える

  • 皮膚がピリピリしたり、疲労や倦怠感を感じたりする発作のサインとなる症状見逃さない。
  • 旅行や出張に行くときは、事前に主治医の先生に相談し、HAEの治療可能な医療機関を教えてもらったり、紹介状を書いてもらうなど発作時の対応を確認しておく。

5.発作が起きたら我慢しないで

  • 遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作は生活や命に影響をおよぼすことがあるため、どの部位の発作でも重症化予防と早期回復のためにも早期に治療をすることが重要です。特にのどや、口の中に発作が起きた場合は、すぐに対処することが重要です。
  • 発作が起きてから治療を始めるまでの時間が長くなればなるほど、回復に要する時間も長くなってしまいます。ですから、とにかく早く治療した方が、その日や翌日に予定していたことを、きちんとこなせるようになります。国内外のHAE診療ガイドラインにおいても、発作の部位によらず、早期治療が重要であると記載されています1) 2)
  • 1) Maurer, M. et al. The international WAO/EAACI guideline for the management of hereditary angioedema - the 2021 revision and update. Allergy, doi:10.1111/all.15214 (2022).
  • 2) 一般社団法人日本補体学会HAE ガイドライン作成委員会:遺伝性血管性浮腫(HAE) ガイドライン改訂2019 年版.2020. (堀内孝彦 他 日本補体学会学会誌「補体」 57(1):3-22, 2020)

6.緊急時の備え

  • 緊急時(のどがつまる感じ、息苦しさなどを感じたとき)は、直ちに救急車を呼んで、救急隊員や搬送先の医療機関に遺伝性血管性浮腫(HAE)であることを伝えてください。
  • 病気ごとに治療法も異なりますので適切な診断を受けるためにもご自身がHAEであることを医師に伝える必要があります。また、緊急時に備えて事前に主治医の連絡先などをメモした緊急時連絡カードを用意しておいてください。