HAE(遺伝性血管性浮腫)は非常にまれな疾患であるため、患者数が少なく、診断がつくまでに長い時間を要するケースが少なくありません。実際に、日本では推定患者数に対して診断・治療を受けている方の割合はごくわずかであり、発症から診断まで10年以上を要する例もあります。このページでは、HAEの国内における推定患者数や診断までの平均期間、年齢に関するデータを紹介し、診断の遅れによる課題について解説します。

HAEの患者数

希少疾患の1つであるHAEの有病率は5万人に1人といわれており1) 2) 、日本にはおよそ2,500人の患者さんがいると推定されます。
HAEの患者数に明らかな男女差は認められていませんが、女性ホルモン(エストロゲン)がHAEの症状発現に影響を与えることが分かっています。

希少疾患の疾患認知率は一般的に低いなどの理由で、多くの希少疾患患者さんが適切な診断がなされず何年も苦しんでおられます。
わが国の調査では、国内で診断・治療中のHAEの患者数は430名程度(2016年時点)3)といわれており、推定される国内の患者数に対し20%に留まっています。

HAEの診断時の年齢

HAEの患者さんはHAEと診断されるまでに平均4.6件の異なる診療科を受診しており、初発時の平均年齢は18.0歳、初診時の平均年齢は25.6歳、診断時の平均年齢は32.8歳でした(7)

HAEの診断までの年数

浮腫などの症状が出現してからHAEと診断されるまでの平均期間は15.6年であり4)、欧米の10年未満5) 6)と比べると大きなギャップがあります。

図:発症時の年齢、初診時の年齢、診断時の年齢

図:発症時の年齢、初診時の年齢、診断時の年齢

(K. Iwamoto et al. :.Allergology International 70 : 235-243,2021)

各患者さんの症状発現時の年齢、医療機関への初診時の年齢、HAEと診断された時の年齢をプロットしています。赤色の円は患者さんが無症状であったことを示します。

  • 1) Zuraw BL. N Engl J M ed 359 :1027-1036, 2008.
  • 2) Lang DM, et al . Ann Allergy Asthma Immunol 109 (6) :39 5-402, 2012.
  • 3) 大澤勲編:難病遺伝性血管性浮腫 HAE 医薬ジャーナル社
  • 4) Ohsawa et.al., Ann Allergy Asthma Immunol, 2015
  • 5) Banerji et al., Allergy Asthma Proc. 2018 May-Jun
  • 6) Zanichelli et al., Allergy, Asthma & Clinical Immunology 2013
  • 7) K. Iwamoto et al. :.Allergology International 70 : 235-243,2021

HAEの診断までの流れ

HAEは他の病気と症状が似ていることから、正確な診断に至るまでに時間がかかることがあります。発症年齢や症状の出方にも個人差があるため、診断には専門的な知識と慎重な判断が求められます。
詳しい診断プロセスについては、以下のページでご紹介しています。

HAEの診断の第一歩としてチェックシートをご活用ください

HAEは症状が一時的に収まったり、他の疾患と似た症状が出たりするため、見過ごされがちです。
「自分も当てはまるかもしれない」と感じた方は、まずはチェックシートでご自身の症状を確認してみましょう。これにより、適切な診断を受けるための第一歩を踏み出せます。