活動目的
当法人は、未診断で遺伝性血管性浮腫(HAE)に苦しんでいる患者さんを救うために、医療従事者、患者団体、学会、製薬企業などが連携し、それぞれの専門性や創造性を通じて、適切な早期診断の実現を目指します。
活動の全体像
3つのワーキンググループ(WG)、WG1: 医療データAI分析、WG2: 非専門医診断支援、WG3: 未診断患者向け疾患啓発を通じてHAEの診断率を高めることを目指しています。
*日本専門医制評価・認定機構が認定する専門医を指すものではなく、HAE領域の診療・患者支援に長年尽力されている医師を指す。
WG1 医療データAI分析
WGリーダーからのメッセージ
HAEは突然いろいろな部位に浮腫を生じる疾患であり、喉頭浮腫が生じると死亡するリスクが極めて高い疾患です。症状に応じてそれぞれ異なる診療科を受診し、他の疾患と誤認される可能性もあります。一方で、疑いさえすれば本疾患の診断は非常に簡単であり、発作時の有効な治療薬は複数存在しているため、本疾患の可能性が高い患者さんを見つけ出し、診断に必要な検査を受けてもらうような仕組みが必要です。
WG1では、現在注目されている医療ビックデータを活用し、電子カルテやレセプト、健診データ等を基に、HAE患者さんを判別するための診断支援人工知能(以下、「AI」)を構築します。 そしてそのAIを活用して日常診療での「HAE」の見落としを減らしたり、レセプトデータなどのビッグデータから疑い患者を見つけ出して専門医療機関の受診を促すような仕組みを構築することで、未診断患者の減少を目指します。
WG2 非専門医診断支援
*2: 疾患特設ページをMedPeer内に設置することで情報発信をしつつ、既存のバーチャルコミュニティであるMedPeer内の「Meet the Expert」を使った相談を実現する。
*3: インテグリティ・ヘルスケア社のYaDoc Quickを使った相談を実現する。
WGリーダーからのメッセージ
欧米と比較して日本はHAEの診断率が低く、診断までに時間を要します。この課題の背景にはHAEの認知度の低さや、非専門医と専門医の相互情報交換を行うツールが不足していることがあると言われています。
診断率を向上するためには医療従事者の知見強化や、HAE疑い患者を発見した際に医師同士が気軽に相談できるプラットフォームが必要です。
WG2では医療従事者向けにHAEのウェブ上のコミュニティを開設し、HAEの知見を提供するほか、遠隔相談システムを活用し、医療従事者がHAEに詳しい医師に相談できる仕組みを構築することで、医師の診断を促進します。
WG3 未診断患者向け疾患啓発
WGリーダーからのメッセージ
HAEは、症状が数日で治まるため医療機関を受診しない患者さんや、心理的ハードルを抱えて受診を控える患者さんがいらっしゃいます。
また、患者さんのご家族もHAEである可能性があり、この病気を早く発見するためには、患者さんのご家族も検査をすることが大切です。しかし、ご自身がHAEであることを家族に言いづらい患者さんもいらっしゃいます。
WG3では、Webサイトを通じて、ご自身が「HAEかもしれない」と気づいていただくための情報を提供すると同時に、患者さんのご家族も検査を受けることの重要性をお伝えします。それによって患者さんやご家族が、安心して気軽に医療機関を受診してただくことを目標にしています。その結果、まだ診断をされていない多くの患者さんが、正しく診断されて、適切な医療を受けることができるようになることを願っています。