代表理事 秀 道広
広島市立広島市民病院
代表理事 堀内 孝彦
福岡市民病院
「協創」で希少疾患の早期診断向上に挑む
「遺伝性血管性浮腫」(HAE)は、体の至るところで持続する腫れやむくみを繰り返す難病です。希少疾患であるがゆえに、認知度の低さや診断に求められる専門性の高さから診断に時間を要することが知られています。日本では初発から診断まで平均で15.6年かかっているとされており、その間、患者さんは時に生命の危険を来す可能性があるこの疾患に苦しみ続けています。
「遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム」は、HAEと診断されずに苦しむ患者さんを救うために、早期診断と診断率向上を目指し2021年2月に設立されました。
本コンソーシアムの特徴は、医療従事者・患者団体の他、本来は各業界内で競争関係にあるIT企業や製薬企業などの幅広い関係者が協創関係を築いていることです。
全身に症状が出る疾患の特性を鑑みて、皮膚科・膠原病内科・腎臓内科・消化器内科・血液内科・救急・口腔外科等、幅広い診療科の医師がお互いの知見を持ち寄っているほか、HAE患者会が患者目線での戦略や疾患啓発に協力しています。
また、IT企業も参画し、AI、遠隔相談システム等のデジタルテクノロジーや、デジタルを活用した疾患啓発を積極的に展開します。
その他、製薬企業から共同で寄附・基金をいただき、早期診断および診断率の向上達成のために協働しています。
このように、さまざまな関係者が「協創」することで、HAEという希少疾患領域において個々の力では成しえなかった新しい発想や取り組みが可能になりました。本取り組みを通して、HAEと診断されず苦しむ患者さんの助けになりたいと考えています。